個人年金を利用する際に気になる5つの疑問をご紹介します。どの種類の個人年金にも共通する疑問をピックアップしているので、しっかりチェックしておきましょう。
被保険者が年金受取開始前に亡くなってしまった場合の個人年金の扱いは以下のとおりです。
受取開始前に亡くなったら
上記のとおり、被保険者が年金受取開始前に亡くなった場合は、定額個人年金保険・変額個人年金保険ともに、死亡給付金が遺族に支払われます。受け取れる死亡給付金は、どちらのタイプも払い込んだ保険料を下回らないものが一般的です。
保険料の支払い方法は月払いや年払いのほかに、一時払いが選択できるものもあります。また一時払いと似た支払い方法で、全期前納払いというものもあります。
全期前納払いとは、保険会社に保険料の全額を預けて、月払いや年払いなどの支払い期日が来たタイミングで、預けた保険料から期日が到来した分だけが支払われる仕組みです。月払いや年払いと比較すると、保険料は安くなります。
保険会社に一括で保険料を支払うという点では両者同じ同じですが、一時払いの方が支払う保険料の総額が安いという特徴があります。
また保険料の支払いによって受けることができる税金の控除にも違いがあります。一時払いは保険会社に支払った年のみ控除を受けられますが、前期前納払いでは毎年税金の控除を受けることが可能です。
さらに一時払いは対面での契約が必要になるケースが多いようです。
結論からいうと、保険会社が破綻しても保険契約はなくなりません。保険契約は「生命保険契約者保護機構」によって保護されるためです。
ただし払込保険料や受取年金額が全額補償されない場合もあります。なぜなら、補償限度額は破綻時点の責任準備金の90%まで(※)と保険業法等で定められているためです。責任準備金とは将来の保険金の支払いに備えて、保険会社が積み立てているお金のことをいいます。
一般的に、責任準備金の金額は契約者から払い込まれた保険料の合計額より少なくなるといわれています。そのため、本来受け取ることができる年金額が減ったり、保険料が値上がりするリスクがあることを覚えておきましょう。
※保険金・年金等の90%が補償されるわけではない
個人年金は受取時に税金がかかりますが、下表のとおり契約内容によってかかる税金の種類が異なります。
契約者 | 受取人 | 受取方法 | 受取時にかかる税金の種類 |
---|---|---|---|
A | A | 年金形式 | 所得税(雑所得) |
一括受取 | 所得税(一時所得) | ||
A | B | 年金形式 | 年金受取開始年:贈与税 2年目以降:所得税(雑所得) |
一括受取 | 贈与税 |
契約者と受取人が同じ場合、年金受取時には所得税が課せられます。年金方式では雑所得の扱いですが、一括で受け取る場合は一時所得となります。
一時所得のほうが税金面で優遇されるため、納税額だけで見ると一括受取のほうがお得ですが、年金の総受取金額は年金形式の方が多くもらえるため、トータルでは年金形式で受け取るほうがお得になる場合が多いようです。
一方契約者と受取人が異なる場合(例:夫が契約し支払った個人年金を妻が受け取る場合など)では、年金開始時は受取時の評価額に対して贈与税がかかります。さらに2年目以降は、初年度の評価額から運用で増えた部分に対して所得税(雑所得)がかかります。また、一括受取の場合は贈与税が課せられます。
所得税より贈与税のほうが税率が高くなるのが一般的なので、契約者と受取人を同一名義にしておくと税金面でお得です。ただし契約者と受取人が同じでも、別の人が保険料を支払った場合は贈与税が課せられるので注意しましょう。
また所得税がかかる場合は、復興特別所得税(所得税額の2.1%)も合わせてかかることも覚えておきましょう。
個人年金の支払い保険料は、「個人年金保険料控除」という仕組みを利用することで、節税効果を得ることができます。
個人年金保険料控除とは生命保険料控除の一種で、個人年金の支払い保険料に対して所得税と住民税の負担を軽減することができるものです。生命保険料控除は個人年金保険料控除のほかに、「一般生命保険料控除」と「介護医療保険料控除」というものがあります。
個人年金保険料控除にはその年の支払い保険料に応じて上限が設けられており、所得税は最大4万円、住民税では最大2.8万円の控除を受けることができます。
個人年金保険料控除を受けるためには以下すべての条件を満たしたうえで、「個人年金保険料税制適格特約」を付ける必要があります。
ただし変額個人年金保険や一時払い個人年金保険は個人年金保険料控除ではなく、一般生命保険料控除の対象となります。
個人年金保険料控除を受けるには申告手続きが必要です。自営業の人は確定申告で、会社員や公務員などの給与所得者は年末調整で申告をおこないましょう。
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